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    2017/02/04

    スーパー銭湯で会った純情な青年

    独身の頃、スーパー銭湯通いにハマった時期がありまして。
    気軽に行ける距離にスーパー銭湯がたくさんある地域に当時住んでいて、あちこち日替わりで楽しんでいました。

    露天やサウナで疲れを取る目的もありますが、まあゲイなので他人のチンポや体を観察するのが副次的な目的というかほぼ主目的というか…。

    公共の場なので派手なアクションは当然御法度なのですが、やっぱりお仲間さんは多くて、イケる人がいると目配せや湯の中での膝タッチ、サウナでのチンポちら見せなどで合図を送り合いました。相手もノッてくれると一緒に風呂を出て、車の中や少し暗めの公園でシコシコしたり、しゃぶり合ったり、時にそのままラブホでセックスまでいったり。お互いに顔も体もチンポも見た状態でGOサインを出しているので、話が早いです。

    そんなある日、夜0時近くあるスーパー銭湯で露天風呂に入ってウトウトしていました。特に俺の好みの男も、俺に興味がありそうな男もいなかったので、「そろそろ帰ろうかな~」と思っていたその時、なんだか膝のあたりにサワサワと感じるものが。「お、きたな?」と思いそっと目を開けると、さっきまでいなかった若くて超マッチョなさわやか短髪青年が隣に座っていてあらぬ方向を向いています。角ばった立派なあごとキリっとした目、おそらく20歳前後かと思われるスベスベでピチピチの肌、アメフトでもやってそうな、童顔に似合わないバキバキのマッチョな体。こっちの世界では相当モテそうなタイプでした。

    「ん? まさかこんな若くてかっこいいマッチョくんが俺にアプローチ仕掛けてくるはずないしな…勘違いか」

    そう思ってまた目を閉じていると、また膝にサワサワ…。目を開けると、やっぱりあのマッチョ青年くんがいて、視線は合わせてくれないんですが、チラッチラッとこっちを見ていました。「へぇ~、こんなモテそうな子が俺に手を出すなんて、年上好きの変わった趣味の子かなw」とこちらも軽く膝をタッチしたりしてみるのですが、どうもそれ以上の反応がありません。俺に興味があるのかないのか、何をしたいのかよく分からず、変に場馴れした俺は「なんだよ、興味あるならチンポくらい見せろよ、じれったいなぁ」などと心の中で悪態をつきながら、その場を後にしました。

    今日はもう帰ろうと風呂を出て着替え、ジュースを1本飲んで「車どこに停めたっけな…」と駐車場をウロウロしていると、ふと前に立ちはだかる男性がいました。

    さっきのマッチョ青年でした。

    「あ…キミ。さっき露天にいたよね。なに、俺なんかに興味あんの?」

    「は、はい…」と言ったきりうつむくマッチョくん。

    (なんかめんどくせーなぁこいつ…まあいいや、こんな若いマッチョを食えるなんてなかなか機会ないからいただいとくか! でももう0時回ってるしなぁ、あんまりガッツリやる気分じゃねーな)

    そう心の中で軽く考え、彼に聞いてみました。

    「それならさ、どっか適当なところで軽く抜いて帰る? しゃぶってあげるよ」

    すると彼は少し驚いたような顔をして、またうつむいたまま振り絞るような小さい声で言いました。

    「そんな…軽く抜くとか、イヤです」

    「!!!」

    俺は衝撃を受けました。
    (もしかしてこいつ、俺と本当に友達にでもなりたいと思ってるのか…??)

    スーパー銭湯で好みの男の膝を触ってくるような男は、みんなエロいことしか考えていなくて、風呂をさっさと出てチンポしゃぶったりケツ掘ったりすることしか頭にないとばかり思っていました。彼は違ったのです。

    彼は、自分が勇気を出して言った言葉で、俺が怒ったんじゃないかと気にしているような様子でした。うつむいたまま、オドオドと立ち尽くしていました。俺は、この衝撃をすぐには整理しきれず、心無い言葉を彼に浴びせました。

    「え、じゃあ何がしたくて俺のこと触ってきたの? …帰るわ。じゃーね」

    立ち尽くす彼を置いて、俺はそそくさと車に乗り立ち去りました。

    家に着いてから、しばらく彼のことが頭を離れませんでした。さっきは衝撃を受け止めきれずひどいこと言ってしまった、きっとただ純情な青年だったんだろうな。ゲイだけど、俺みたいに男をとっかえひっかえ遊んでいるようなオヤジと違って、話ができるだけでもいいと思って勇気を振り絞って俺なんかにアプローチしてくれたんだろうか。悪いことしちゃったな。

    翌日、なんとなく変な予感がして、当時ゲイ向け総合ポータルサイトでは最有名どころのMen's Net JapanのWanted掲示板(連絡先が分からない人に呼びかける尋ね人掲示板)をのぞいてみました。

    なんと! 予感が当たっていて昨日のマッチョ青年らしき書き込みがあったのです。

    「昨日◯◯湯で会った方へ」、そんな感じの件名だったと思います。

    「昨日0時頃、◯◯湯の露天風呂で一緒になり、その後駐車場でお話した背の高い坊主頭の方。つい失礼なことを言ってしまってすみませんでした。できれば、もう一度お会いしたいです」

    俺は、自分が恥ずかしくなって画面を直視できませんでした。
    失礼なことって何だよ…。すみませんでしたって…。

    失礼なのも謝るのも俺の方だよ。

    俺なんかのどこが気に入ったのか知らないけど、俺に興味を持ってくれて、もしかしたら友達からでいいから真剣に関係を築きたいと思ってくれたのかな。まだ若くて純情で不器用だから、あんなアプローチしかできなかったけど、彼なりに精一杯だったんだろう。そして、俺の「軽く抜いて帰る?」なんていう下品な言葉にショックを受けて、勇気を出して拒否したけど、それで俺が気分を害したんじゃないかと気に病んで掲示板にまで書き込むなんて。
    どこまでいいヤツなんだよ。

    俺は彼に連絡を取る勇気はありませんでした。彼の純情さに応えるには、もう汚れすぎてしまっていたから。でも、「ごめんね」だけは言っておけばよかったと、今も後悔しています。















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