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    2017/01/10

    忘れられない夜

    ハッテン場で目撃されるという衝撃のきっかけで、ゲイであることが元同僚にバレたエントリーを書きましたが、その飲み会の話の続きです。


    飲みに誘ってくれたガチデブさんは、超タイプなのに、今までは凝視して怪しまれたくないため視線をそらすクセがついていましたが、この日はじっくり見ることができました。


    よく見ると、思ってた以上にかわいいいなあ~。そんなことを思いつつ、いつかもっと親しい関係になれたらいいのにな…そうでなくてもチンコくらいしゃぶらせてくれないかなw などという勝手な妄想を打ち砕く一言が。


    「嫁がいるんですよ」


    チーン。

    お嫁さん(もちろん男ですよ)がいらっしゃるとのこと。写真を見せてもらうと、こちらも俺好みのおデブさん。幸せそうなカップルでした。なんだか、初恋の人にフラれたよう気持ちになりました。


    同期のあいつが聞いてきました。

    「お前タチウケどっちなん?」

    これはいつも困る質問です。「肉体的にはタチだけどメンタル的にはウケかなあ」と答えました。


    以前に「男との初体験3」で書いた相手とアナル受けは経験済みで、何度か別の人とも試したのですが、どうもうまくいかないことが多く、いつしか掘る専門になっていました。


    でも、本来のメンタルはウケ寄りのようで、セックスの相手に全身を愛撫されて舐め回されていると、全身を預けて喘ぎ声をあげて感じている自分がいたりします。そうやってリードされるセックスが好きなんです。ケツさえ開発できれば自身を持って「ウケです!」と言えるのですが(どなたかお願いします)。


    ガチデブさんが、「そっかー、それじゃ俺とは合わないなあ。俺バリバリニャンコちゃんだし!」と言ったもんだからまたも驚きました。こないだまでノンケの同僚としか見てなかったのに…。この人、この見た目(かなりゴツい)で、家に帰るとアナル丸出しにして穴をヒクヒクさせながら「はやく入れてェ…太いのちょうだい…」なんて言ってるのかと思うと、その一言だけで俺はフル勃起していました(妄想は特技です)。


    ガチデブさんが「それにしても、てっきりもう結婚してる人だと思ってたよ~」と言いました。そういえばまだ打ち明けてなかったことに気付き、2人に恐る恐る話しました。


    「えっと…ひかないでね…。俺、結婚してるんです、子供もいます。」


    「えっ??」と一瞬の沈黙はありましたが、ガチデブさんは「えーそうなんだ~」と軽く流しました。同期は、「お前そうなん??」と驚き、次の一言が俺の胸に突き刺さりました。


    「何やってんだよ。お前の世間体を守るために奥さんが犠牲になってんだろ。ひでーな!」


    決して非難する口調ではなく軽く言った言葉ですが、でもどこまでも素直で、どこまでも正論でした。同い年で、周囲のプレッシャーにも負けずゲイとして生きる覚悟を決めているそいつに言われると、返す言葉はありませんでした。


    店を出た後、2次会として同期がゲイバーに連れていってくれました。実は、生まれて初めてです。他のエントリーで書いたように、ひたすらバレることを恐れて閉じこもっていた俺は、ゲイバーで飲むなどオープンな活動をしたことがなかったんです。


    満員のお店には、当たり前ですがゲイばかりいて、俺がゲイであることもみんなが当たり前だと思っていて、普通に話をしていました。たったそれだけのことが、俺には新鮮で、嬉しくてたまりませんでした。


    ちょっと酔ってしまって(酔ったフリをして)、そのガチデブさんに密着し、タプタプのお腹をさすったり、うっかり乳首を触ったり、キスを強要したりしていました。はい、最低のはしゃぎっぷりでした。だって、ノンケだと思っていたタイプの同僚が実はゲイで、向こうから打ち明けてくれて飲みに誘ってくれるなんて、普通にゲイ小説でしょ!! 嬉しすぎるよ!! ちょっとくらいハメはずさせて!! …ガチデブさんは笑顔を絶やさないものの、明らかに困っていました。あの時はごめんなさい。


    ゲイバーを出ると、ガチデブさんが「なんかムラムラしてきちゃってさぁ…2人で休めるところに行かない?」…という展開にはもちろんならず、笑顔でお嫁さんの待つ家に帰って行きました。


    「自分を偽らないこと」

    こんな単純なことが、ここまで満足感を与えてくれるとは知りませんでした。

    そして、同期の言葉を噛みしめていました。俺はなんという過ちを犯してしまったのだろう。「結婚して人並みの生活をしている一人前の自分」という世間体を守るために、どれだけのものを犠牲にしてしまったんだろう。そんな考えが沸き起こってグルグル頭の中を回り始めていました。


    翌朝、妻に「おはよう。昨日の飲み会誰と飲んだんだっけ? カラオケとか行ったの?」と聞かれました。「前の職場の人。2次会はさー、普通の居酒屋でまた飲んだよ、話が盛り上がっちゃって。」


    自分を偽らないことの解放感を知った翌朝、俺はまた平然と嘘をつき、いつもの日常が始まりました。


    忘れられない夜になりました。



    ガチデブさんと、こんなことしたかったなあ…


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